心理カウンセリングのイロハ

箱庭療法とは

箱庭療法というのは、1911年にH.G.ウェルズというSF作家の『フロア・ゲーム』という著書に感銘を受けたイギリスの小児科医であるマーガレット・ローガンフェルドが1929年に世界技法を発表したことがきっかけで始まりました。その後にドラ・カルフというスイス人によって砂遊び療法として箱庭療法が確立されました。

 

箱庭療法は実は初めは子供を対象にしたセラピーに用いられていました。子供は複雑な言語や概念を表現することが難しく、遊んだり象徴的な表現を行うことで自己表現をするために治療において大きな意義があったからです。しかし、後に精神障害を抱えている患者にも用いられるようになりました。世界で見ても、日本が最も速く、日本の心理療法家でユング派である河合隼雄氏によって持ち込まれました。日本では広範囲に普及し、最近では中国や韓国、ヨーロッパ、アメリカにおいても用いられています。また、病院やカウンセリングルームだけではなく、学校や企業の健康相談室などでも用いられています。

 

この心理療法では、砂の入った箱(大体縦57cm、横72cm、高さ7cmの木箱であることがほとんど)にクライアントが動物や建物、植物や人間、乗り物や怪物といったおもちゃ(ミニチュア)を配置していきます。その様子を精神科医やカウンセラーは見守ります。箱庭療法は表現療法に分類されますが、この心理療法においてとても重要なことは、クライアントが見守られながらも自由に表現を行う事です。言葉ではなかなか表現できないような心の内側をこの箱に配置されたおもちゃで表現することができます。おもちゃを配置していく事自体がクライアントの心を解放することにもつながります。

 

箱庭療法で自分の内面の世界を体験したクライアントはこの体験によって症状が改善したり、対人関係の問題を解決したりすることがあるようです。

 

何故、このような効果が得られるのでしょうか。それは、自分の心の深い部分を自分の目で見て確認することで、内的に統合が行われるためです。

 

クライアントが作業を行っている時は、カウンセラーはクライアントの内面を考えながら受容的な態度で見守っているので、クライアント自身も自分の心を見る事を恐れずに済みます。クライアントはできあがった箱庭を配置、意味などで分析を行いますが、あまり解釈や分析を行いすぎることはタブーです。箱庭療法はクライアントの全てではなく、占いでもないために、それだけでカウンセラーが決めつけたように解釈を行い、クライアントに伝えてしまうとカウンセリングの方向性が間違った方向に向いてしまう恐れがあります。ですから、箱庭はあくまでもクライアント本人が何らかの気付きを得たり、自然に発散させて心を整理させることが第一なのです。

 

この箱庭療法は今は子供から高齢者まで幅広い年齢層で用いられています。自己啓発目的で行う人もいますが、主に心身症、神経症、パーソナリティ障害などの治療に用いられています。自分自身で気付いていなかった心の状態や動きをダイレクトに感じる事ができるところが特徴的です。